おしどり登山隊                                                    山便り |ホームへ 
 
9月剱岳北方稜線縦走 敗退の記             
 ”雪と岩の殿堂・剱岳”はアルピニストの憧れの山だ。この山の魅力に接するには室堂から登る一般ルートのほか、色々なバリ
 エーションルートがある。その中で剣岳の真の魅力である「雪と岩の殿堂」に挑むバリエーションルートが「北方稜線ルート」で
 ある。
 ”雪と岩の殿堂”と呼ばれる岩峰の魅力に魅せられた我々7人が塚田ガイドと共に、岩また岩の殿堂に挑戦する。
 今回のルートは馬場島から日本一大きな標高差(2240m)の早月尾根を登り、剣岳山頂から北方稜線を縦走し、池の平小屋
 から阿曽原温泉を経て、欅平に下るルートだ。
 中年域を過ぎ、高年域に入った7人が果たして、最高難度の体力と技術を要するその試練に耐えることが出来るのか?
        「剣岳は岩と雪の殿堂である 心身とも鍛錬された人よ来れ」−剣岳の諭からー
 
■9月7日(水) 広島〜馬場島荘(2763m)  曇り
 広島06:00 → 08:41大阪 9;00 → 11:04金沢 → 10:57富山 → 上市駅 → 14:30馬場島荘(泊)

 広島からは6人が広島始発の新幹線自由席に乗り込み、富山駅でガイドとメンバー一人と合流し、登山基地の馬場島に向かう。
 馬場島荘にチェックイン後、馬場島キャンプ場(無料)から登山口あたりを散策する。台風13号に伴う雲が空を覆っている。
 明日の天気は・・・・?

9月8日(木) 馬場島荘(740m)〜早月小屋(2200m)  早月尾根ルートはこちら (上市町のホームページより)
 馬場島荘7:30→ 剣岳登山口7:50→ 11:30 1400m道標→ 14:17早月小屋まであと1km道標→ 15:30早月小屋(泊)

 今日は早月小屋(標高2200m)まで、6時間の行程だ。それでも高低差は1400m以上ある。 富士山五合目から富士山山頂
 までの標高差と同じだ。
 天気は雨。心配した通りの天気だ。それでも剱岳の山頂方向は曇り空の中に見えている。小雨の中を遅い出発。
 「剱岳 早月尾根を経て」の石碑から舗装路を離れ、登山口に向かう。「試練と憧れ」の石碑を過ぎると剱岳登山道入口だ。
 登山口からいきなりの急登で、重い荷物が堪える。6時間もあれば小屋に着くと計算していたが、さすがは剣岳早月尾根、北
 アルプス三大急登、2200m比高はだてじゃない。しかし、このゆっくりペースでは時間通り着くのか不安になる。なにしろ、
 今年はあまりの暑さに恐れをなして、トレーニングも疎かにしているし・・・。
 木の根と丸太の階段が連続する急登を登り、登山口から1時間30分ほどで、やっと標高1000m地点に到達。
 その標高1000mの看板には、「馬場島まであと1km」とある。ということは、まだ距離的には1km、標高的には250mしか
 登ってきていないということだ。
 ここからしばらくは、比較的平らな道になる。松尾平というらしい。杉の巨木が次々と現れ、目を楽しませてくれる。そんな楽しい
 時も30分ほどで終わり、一段と厳しい登りが待っている。
 標高1200mからは木の根を掴みながらの急登が続き、アップアップの状態で中間点の標高1400mの休憩地にたどり着く。
 1400mから1800mも急登の連続。一歩の高さが50cmくらいは当たり前の状態の登山道だ。途中に朽ちたような木の梯子
 などもあり 雨に濡れて滑りやすく、余計に疲れが増してくる。
 1800mを超えると岩場の急登になる。岩場を登り切ると視界が開けてくるが、生憎の雨で視界は無し。
 1920.7mの三角点を過ぎると2000mの標識がある。「早月小屋まであと1km」の表記。ホッとする間もなく、その先がまた
 急登の連続だ。2200mを過ぎた辺りにある小さな池の縁を通り、一枚岩のロープ場を越えると早月小屋を見下ろす2224m
 のピークに到着する。やっと今日の試練は終わりです。
 15時30分 2時間遅れの8時間を要し、剱岳早月尾根の中間点ともいうべき早月小屋に到着。  
塚田ガイドと7人の・・者        遭難碑
登山基地となる馬場島荘 馬場島キャンプ場
剱岳の山頂方向は見えている 案内板を見ながら進む
舗装路から登山口へ
「試練と憧れ」の石碑 「剱岳の諭」の石碑
剱岳登山道入口  馬場島(標高760m)←5.4km→早月小屋標高(2200m)←2.9km→剱岳頂上(標高2999m)
木の根と丸太階段の急登
やっと緩やかな道に・・・・ 杉の巨木が次々と現れる
再び始まる急登に備えて休憩 再び木の根の急登
1200m、1400mの標識 木を掴みながらの急登
1400mの休憩場所 依然として急登 岩場の急登
標高2000mの標識 小さな池
一枚岩の登山道 2224mピークへ
ピークから早月小屋を見る 早月小屋

9月9日(金) 早月小屋(2763m)〜馬場島荘  
 早月小屋6:50 → 11:40登山口 → 13:00馬場島荘

 今日の行程は剱岳の山頂を踏んで北方稜線を縦走し、池の平小屋まで12時間の長丁場を歩く予定だが・・・?。
 しかし、目を覚ますと、外は雨。北方稜線は諦めて、せめて剱岳でもと。しかし時間がたつにつれ雨脚も強くなってきた。
   剱岳の諭 その2 「気候は激しく変動する 冷静沈着な行動に徹せよ」
 山小屋の主人の忠告もあり、勇気ある撤退をすることにした。
 雨中の撤退は、惨めでモチベーションの下がることこの上ない。急坂の悪路と雨具が動きを鈍くし、次第に体力を奪って
 いく。水たまりを避ける注意力も散漫になり、 ひとりふたりと膝の痛みに耐えかね遅れだしてくる。
 下りとはいえ、滑りやすい悪路の標高差1400mの道程は長くて、過酷なものだ。
 剱岳北方稜線縦走という夢には破れたが、試練に耐え、けがもなく、午後1時無事全員下山。
 安心感とともに、急に空腹感が襲ってきた。 
早月小屋 空模様を観察 雨の中を撤退する
雨に濡れるアカモノ 水たまりを避ける気力も無い
急坂の下りは膝や腰に堪える
ガスに霞む杉の巨木 試練に耐え、無事下山
■9月10日(金) 馬場島荘〜栃温泉〜富山〜広島

 今日は昨日とうって変わって快晴。剱岳の頂上も見えている。 昨日と代わっていれば・・・こんなことはよくあることだ。
 気持ちを入れ替え、今日は温泉へ。 宇奈月温泉の近くにあり「宇奈月湖」のほとりにある日帰り温泉施設「栃の湯」へ
 湖に面した露天風呂から峡谷を走るロッコ電車が見えることで有名な温泉だ。進入路のクルミの並木は、栃の木と間違
 えて植えられたそうです。
 富山で塚田ガイドと別れ、一路我が家へ。 悔しくも楽しい山旅だった! 
 
今日は快晴・・・・ 剱岳山頂も見えている
クルミの並木道 栃の湯温泉
トロッコ電車の見える温泉 露天風呂(マウス ON )
ひとこと:剱岳は憧れと試練の山だった!
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