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 人形仙(にんぎょうせん)1003.8m        岡山県津山市鏡野町上斎原

 山の概要
   人形仙は岡山県と鳥取県との県境に位置する山で、山頂には標柱と山頂三角点の標石が立っている。頂上は
   刈りはらわれているが、樹木に囲まれているため見晴らしは利かない。
   山の名前は人形仙越に由来する。人形仙越は倉吉・三朝のある東伯耆と津山を結ぶ「津山往来・伯耆往来」の
   一つだった。1989年(明治32年)に津山往来に県道(現在の国道179号線)が開通したが、この時県道は人形
   越の北東1kmほどにある「打札越」を通ることになった。1955年に打札越付近でウラン鉱山が発見されると、翌
   年からこの鉱山を人形峠鉱山、打札越を人形峠と称するようになった。
   かっての人形仙越の峠には1808年(江戸時代文化5年)に建立された「母子地蔵」が、現在も人形仙を見つめ
   て立っている。
   
 Route Map広域基幹林道美作北2号線登山口から山頂を目指し、往路を下山
 Road Map中国道院庄ICから国道179号線を北上し、上斎原から林道に入り広域基幹林道美作北2号線に至る 

 2016年11月1日(火曜日)
  曇り、晴れ後雨

 ホーム7:00.。。。。11:35林道登山口11:40 → 11:58湿原分岐 → 12:05母子地蔵12:09 → 12:14湿原分岐 → 
 12:53人形仙肩 → 13:03人形仙山頂(昼食)13:35 → 14:13湿原分岐 → 14:27登山口14:30。。(県民の森)。。

 16:00 国民宿舎いつき(泊)

 行動時間:2時間47分(休憩、昼食時間含む)
 昼食時間:32分
 
 去年の辰巳峠からの素晴らしい紅葉を思い出し、今年も岡山・鳥取の県境の山に一泊二日のミニ遠征することに。
 天気予報がころころ変わり、結局、今日の午前中は雨が残る予報になった。昼頃に登山口に着く積もりで、家をゆっくり出発
 する。最初の目的地は花知ヶ仙だ。予報通りの天気で小雨が降っている。奥津温泉を過ぎ、上斎原から県道482号線に入り
 「遠藤」の標識に従い右折し、遠藤川に沿って南下するも途中で工事中のトラックが通せんぼしている。
 花知ヶ仙を諦め、恩原湖を周遊し時間をつぶして、人形仙に登ることにする。不測の事態に備えて人形仙の予習と地図を用
 意していたのが幸いした。
 上斎原から「人形仙登山口」の標識に従い、林道を登っていくと人形峠と森林公園を結ぶ広域基幹林道美作北2号線に出た。
 
左に曲がるとすぐ人形仙三十七人の墓があり、さらにすぐ先に2本の大杉がある人形仙登山口が見えてくる。
   人形仙三十七人墓は明治時代この付近で砂鉄を採取していた労働者がコレラで37名の死者をだし、それを祀ったも
   のである。 墓石総数は48以上あり、享保(1716年〜1736年)から明治の年銘があり、鉄山・木地師関係の墓も含
   まれている。
 林道は十分な幅員があり、しかも所々広くなった場所もあるので適当な場所に駐車(今回は登山口)して登山口に向かう。
 登山口にはいろんな看板が賑やかに立っている。母子地蔵の説明版を読んで出発、平坦な車道のような広い道を行く。
 落ち葉の積もった広い道は湿地帯となり、登山道に敷かれた丸太の上を足を取られないように慎重に進む。
 少しの坂を超えると湿地帯を通過、根曲り竹を左右に見ながら平坦な道を行くと、やがて道は完全な湿原の中へと入ってい
 く。一応、丸太を数本湿地に入れて、道を確保してくれているが、濡れた丸太ほど危険なものはない。
 そこに人形仙と母子地蔵の分岐がある。まっすぐ行くと母子地蔵、左に採れば人形仙である。
 まずは母子地蔵に向かう。緩やかな傾斜の坂を登っていくと、西には人形仙の手前のピークが見えており、ピークへ向かう
 道筋が尾根に沿ってまっすぐに登っているのが見える。
 分岐から10分足らずで、母子地蔵が祀られた明るい峠に着く。大きな地蔵さんの基部には文化5戊辰(1808)年六月吉日
 と彫られている。この人形仙越は江戸時代に倉吉から津山へ抜ける津山往来3ルートの一つとして拓かれ、最短距離で最も
 往来が多いものの険路たったそうだ。この母子地蔵は江戸時代から今にいたるまで、変わることなく、この峠で旅人の往来や
 人形仙を見守ってきたことだろう。
 南東に目を転じると中国山地の山々の連なりが見えている。西に聳える人形仙へのルートを眺めながら湿地帯まで引き返し
 人形仙に向かって進路を北西に採る。
 
広域基幹林道美作北2号林道 登山口からは緩やかな広い登山道
母子地蔵の説明版(画像クリックで拡大) 落ち葉の積もった広い道
丸太を渡した湿地帯の道 湿原分岐
母子地蔵へ 人形仙が姿を現す (実際は人形仙手前のピーク)
旧人形峠に立つ母子地蔵                  今も人形仙を見つめて立っている                 
吉井川源流域の1000mを超える山々が連なる
湿原まで引き返し、暫く樹林帯を登る

 分岐から暫くは、視界の広がらない自然林の中を緩やかに登っていく。林を抜けると展望が開け、泉山、花知ヶ仙、三ヶ上など
 丘や目検北部の名峰が一望でき、北には先ほどまで立っていた母子地蔵も見えている。
 一休みした後は山頂に向かう急登に取り掛かる。ゆっくりゆっくりと歩を進め、慎重に高度を上げていく。一歩進む旅に展望が
 姿を変えて広がっていく。 展望に気を採られ、足元に目を移すと ”えっ!まだいるの!” 小さなマムシが登山道の真ん中で
 じっとしている。この気温では動くこともままならないのだろう。ストックで追い払い通過。(帰る時にもまだいた!)
 展望を楽しみながら高度を上げていくとやがて傾斜が緩み、大パノラマを目のあたりにする。
 眼下に広がる紅葉の海に感動するも、ピークはまだ先 更なる次の急登が続く。笹原につけられた急登を登り切ると、先ほど
 まで人形仙の山頂と思っていた人形仙の肩(標高950m)に着く。
 そこから両側を背の高い笹に覆われた尾根道を進んでいく。やがて人形仙の山頂も見え出し、わずかに高度を下げ、登り返
 すと人形仙の山頂に到着する。
 三等三角点の置かれた山頂からは根曲り竹に覆われているものの、樹林の間からは花知ヶ仙や泉山を見ることが出来る。
 風を遮る竹に囲まれて暖かい山頂で遅めの昼食を採る。
急登を登ると眼下に紅葉の海が広がる   ピークはまだ先 急登が続く
もう一登りすると人形仙の肩に着く
根曲り竹の緩やかな道を山頂目指して
見えてるピークは隣のピーク
鞍部に立つカラマツ 左手の山が人形仙
最後の登り 人形仙山頂

 天気はいつの間にか快晴。昼食後下山開始。登山時に苦労した急斜面も下山は快適。素晴らしい展望を見ながら、あっと
 いう間に湿地帯に降りてきた。
 湿地帯を過ぎ、登山口が近づくと空模様が怪しくなってきた。車に乗り込んだ途端に雨が落ちてきた。ラッキー!
 時間はまだ2時半、チェックインには早すぎる。森林公園に向け、林道を西に向かう。道中は美しい紅葉に包まれている。
 雨の中でも森林公園には散策する人が・・・・。
 奥津温泉で入浴と思ったが、今夜の宿「国民宿舎いわき」の風呂にゆっくり浸かることにする。
花知ヶ仙、泉山をはじめ美作地区を代表する山々が連なる
根曲り竹の壮快な下り ススキの草原を下る
中国山地の山々を背景に、眼下に広がる紅葉の森
湿原まで帰ってきた 無事帰着
ひとこと:思いがけず、なかなかいい山!
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