オオムラサキ舞う多飯ヶ辻山山頂
今回は猫山から眺めて何時かはと思っていた、箱庭のような小奴可盆地に聳える多飯ヶ辻山だ。
小奴可盆地は 小奴可氏の居城であった亀山城跡があり、「郡内第一の広き郷にて、昔、郡庁の在りし地なるべ
し」と「芸藩通誌」に記されている。現在は亀山城跡に立つ「要害桜」と「小奴可リンゴ」で有名なところだ。
国道314号線から県道450号線に入ると道幅が狭くなり、離合の心配をしながら車を走らせる。当てにしていた
竹森林道の標識は見当たらず、「内名駅」の標識を右に見送った後、1kmほど進み右折する。医王寺を左に見て
坂を登るとT字路に出る。右手に目印の尖がり屋根の民家が見える。民家の向かいが登山口だ。
登山口の前は道が少し太くなっているにで、ここに駐車させて貰う。3台ほどは駐車出来そうだ。
登山口には小さな石仏と「多飯ヶ辻山 登山口」の案内標識がある。登山口を入ると大きな木が茂る雑木林の中
の広い道を進む。すぐにY字の分岐があるが左は行き止まりのようだ。右のコースを取り、作業道を進むとすぐに
道は左に折れる。ガイドブックでは、まっすぐ堰堤に進むと書かれているが、堰堤への道は閉鎖されているようだ。
道なりに進んで行くと、やがて植林地が伐採された地帯になる。振り返ると堰堤が谷の底に見える。
荒れた作業道脇に咲く、ホタルブクロやヤマジノホトトギス、オカトラノオを見ながら登っていくと作業道の終点に
着く。
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多飯ヶ辻山登山口と三角屋根の民家 |
多飯ヶ辻山登山口 |
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気持ちの良い雑木林の登山道 |
伐採地に出る |
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伐採地を進み、振り返ると堰堤が見える |
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ホタルブクロ ヤマジノホトトギス オカトラノオ |
森林伐採地帯を最後まで進むと作業道は終り、そこから植林地の中の登山道になる。入口には黄色や赤いテープ
が木に巻かれている。 この山では数少ない道標が朽ちかけて木に懸けられている。 分りにくい登山道をリボンを
目印にして登って行く。 やがて、斜面を横切るようにまっすぐ登っていく。長いトラバース道の左脇にある亀の甲岩
が中間点だ。
長いトラバースが終わると直登に変わり、クマザサに被われた登山道になる。やがて熊笹の海となり道が無くなる。
平坦な笹の海をリボンを探しながら漕いでいく。楽しみにしていた笹漕ぎが終わると植林帯の急登が待っている。
ひたすら、急登を10分ほど登ると巻道の水平な道に突き当たる。木に掛った小さな案内板に従い左に進む。
植林帯の中、平坦な登山道を歩いていくと道端にお地蔵さんが倒れ掛かって立っている。安永と刻まれているから
江戸時代、240年ほど前のものだ。その時代から多くの人がこの道を登り、信仰していたのだろう。
桧林を抜けるとギボウシの群生する道となり、やがて石垣の上にお宮が見えてくる。 大仙智明大権現奥の院だ。
古びて今にも倒壊しそうな本殿にはつっかい棒が何本のしてある。小さな陶器の狐が祀ってあるお稲荷さんの横か
ら細い急な道を登っていくと三等三角点のある多飯ヶ辻山山頂に着く。山頂は樹木が茂り展望は全く無い。
山頂から50mほど東に進むと広く切り開かれた展望広場がある。井河内への下山口だ。
生憎、今日は雲が繋り展望を楽しむことは出来ない。展望広場の伐採された木に腰掛昼食にする。
昼食も終り、のんびりしていると強烈な羽音にびっくり。大きな蝶が羽を広げると鮮やかな紫。山頂の樹上を滑空す
る巨大な蝶は紛れも無くオオムラサキだ! 羽ばたきも見えないほどのスピードで飛び去り、羽を閉じた写真しか
撮る事ができなかった。 それにしても思わぬ出会いに大感激だ!
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伐採地から植林地へ 数少ない道標がここにある |
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長いトラバース道 |
中間点の亀の甲岩 |
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熊笹の海を笹漕ぎ |
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ひたすら急登を登り、小さな標識のある水平道にたどり着く |
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水平道をるんるん気分で歩いていく |
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大仙神社の脇を通り山頂へ 三等三角点のある狭い山頂は標識だけで展望は無し |
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山頂から西に延びる尾根道 |
井河内下山口に開かれた展望広場 |
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展望広場で昼食 |
オオムラサキ |
帰路は山頂まで戻り、反対方向の西尾根に行ってみるが、相変わらず展望は無く、方位標識もばらけて散らばって
いる。 再び山頂まで戻り、大仙さんまで降りて水平道を帰っていく。すぐ、塩原への下山口の印の「火の用心」の
黄色い看板が杉の幹に括り付けられている。標識は無く、踏み後も薄いので下山口とは見分けられない。さらに
暫く行くと テープを二本巻きつけた棒が杉の木に立てかけてある。やはり標識は無いが、我々の今日の下山口だ。
初めは、植林帯の名かの気持ちの良いなだらかな、踏み後もハッキリした道が続いているが植林帯を抜けると次第
に熊笹が道を覆いだし、やがて色々な雑草も勢いを増し道を隠してしまった。トゲのあるモミジイチゴがちくちく肌を
刺すなか、オカトラノオの群生が心和ませてくれる。廃道となった林道が何度も登山道を寸断し、その度に微かな
印を探して下って行く。
ジグザグに急坂を下り、桧林の痩尾根になると膝が諤々しだし、小休止してゼリーを食べる。 ここまでくればあと
一息で登山口だ。傾斜が緩み藪がかった道に出ると新登山口だ。
車道歩きも木陰があり、案外涼しい。道の両側には桑の木があり、赤い実をつけている。のんびりクールダウンし
ながら15分で登山口に帰ってきた。
展望は無かったが、もともと展望を楽しむ山ではないので、がっかりすることも無かった。道標の殆んど無い、ルート
ハンティングを楽しむ山のようだ。
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支柱が倒れてバラバラになった方位標識 |
塩原への下山口 |
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新登山道の下山口 |
初めは気持ちの良いなだらかな道 |
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やがて強烈な藪漕ぎの道 |
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廃道の林道を横切る |
消えそうな登山道 |
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痩尾根の急坂 |
新登山口 |
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桑の実を摘む副隊長 |
無事帰還 |
ひとこと:多飯ヶ辻山登山の明くる日、日曜日に中国新聞に多飯ヶ辻山(井河内コース)が紹介されるとは・・・・。 |