4月20日(月曜日)
小雨の降る中、6:19発のぞみ110号に乗り込み広島を出発する。11:04にはもう松本駅に到着する。 ここで塚田
ガイドと合流し、キャンプの食料買出しに。米や餅、肉に野菜など仕入れて今夜の宿へ向かう。
今夜の宿は西條八十や幸田露伴、与謝野晶子らが訪れ、森村誠一の小説「人間の証明」の舞台にもなった霧積温
泉の秘境の一軒宿・金湯館だ。かって明治時代には避暑地として栄え42軒の建物が在ったらしいが現在は金湯館
のみとなっている。
人里はなれた山奥の自然のなかでゆったりと湯に浸かり、山の幸を頂いて明日の天気を祈りながら眠りに着く。
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今夜の宿は秘境の一軒宿・金湯館 |
金湯館で養殖中のティラピア |
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温泉で疲れをとり、明日への英気を養う |
4月21日(火曜日) 難易度最上級の山に挑む
祈りが通じたのか、日頃の行いがいいのか、それとも晴れ女の御蔭か、今日は絶好の山日和だ。
霧積温泉から妙義山に向かう車中から見えてくる山容にワクワク、ドキドキする。なにしろ今日は垂直に近い岩場、
長い鎖場、切り立った尾根の続く最難関の縦走路を行く山旅だ。
大きな妙義山登山マップのある登山者用の市営駐車場には、まだ1台の車の駐車していない。山仕度をして、いよ
いよ出発。駐車場から車道を50mほど歩いたところに「熊出没」の立て札のある登山口から入っていく。
15分も歩くと妙義神社に着く。極彩色の立派な社殿だ。社殿右奥の登山口から「大の字」目指して登るのが一般的
なルートだが、登ってきた登山道まで戻り、ふれあいの道「中間道」を暫く、進み第一見晴から「大の字」に向かう。
いきなりの急な岩場を越えると青い空に白雲山が見えてくる。岩山の中腹には「大の字」も・・・。
二本杉茶屋跡を過ぎると岩、岩、岩の連続、全山岩山だ。二本杉茶屋跡のピークの先に最初の鎖。手始めの鎖は
10mほど下降し、絶壁をトラバースする。なかなか手強い!
鎖場から10分ほど進むと「大の字」分岐の辻という所に出る。「大の字」には寄らず、急登をよじ登ると「奥の院」に
達する。奥の院の横に今日、最大の難所の鎖場がある。三連の鎖が架かる斜度60度、30mの岩壁だ。いつもは
傍を水が流れ、岩が湿って滑り易くなっている事が多いらしいが、今日は水の流れも無く、乾いて登り易い。それでも
上に行くほど傾斜がきつくなり、恐怖感が増してくる。
無事、鎖を登りきると、その上には右側が切れ落ちた外傾鎖があるが登山道の道幅は十分にあるので怖くは無い。
次に簡単な鎖場をやり過ごし、樹林帯を急登すると飛び込み台のような「見晴」出る。
南面には金鶏山(登山禁止)のギザギザの岩尾根が見え、北側には岩峰は広がり、その向こうに裏妙義。流石は
日本三大奇景だ。
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登山者用市営駐車場 |
妙義山登山口 |
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立派な妙義神社 |
ふれあいの道「中間道」を暫く進む |
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ふれあいの道から分れ「大の字」方向に |
全山岩山 |
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二本杉茶屋跡 |
岩山の中腹に「大の字」が見える |
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表妙義縦走中で「鷹返し」と並び最大の難所といわれる奥の院の鎖場 |
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判りにくい道標は混乱しやすい |
飛び込み台のような「見晴」 |
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北側に広がる岩峰尾根 |
さらに鎖場は続き、三番目の難所ビビリ岩があるが、ホールドが多くボルダリングの岩登りを堪能させてくれる。狭い稜線を
進み、「玉石」を右に過ごして岩峰を回りみ、振り返ると素晴らしい展望が広がり、左の方には先ほどまで居た「見晴」の凄い
岩峰が聳えていた。
小さいながらも急峻な岩峰登りをなんども繰り返し、こんなところを!と思える細い尾根に架かる鎖を上ると展望の「大のぞき」
の着く。ここも垂直の岩峰のてっぺんではあるが、周りはどこも凄い壁の岩峰ばかりだ。
「大のぞき」からは長い鎖の下りになる。ここは2番目に難しい難所だ! 滑り台状の三連30mの鎖場だ。鎖はついているも
のの岩場の凸凹が少なく、足がかりが浅いため、懸垂で下降しなくてはならない。
塚田ガイドのアドバイスで女性陣4人が降りると、スタコラ先に進もうとする
副隊長「まだ、うしろに女がおるで!」 Kさん「待ってあげようよ!」 塚田ガイド「ありゃ女じゃねえ!」と先に行ってしまった。
長い鎖だ・・・腕が疲れてきた!
「大のぞき」から35分で天狗岩。天狗岩から北側に回り込み大きく下った鞍部が「タルワキ沢」の分岐となる。ここから中間道
に降りる事ができ、相馬岳から先の登山道は危険なので、相馬岳登頂後はここまで引き返して下山しなさいとなっている。
忠告を無視して急登うを登り切ると緩やかなヤセ尾根になる。両側が急峻なヤセ尾根ではあるが、木立が茂っているにで恐
怖感はない。
「タルワキ沢」の分岐から15分で表妙義の最高峰相馬岳1104mに到着。雪の残る浅間山が一際美しく聳えている!
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こんなところも・・・ |
また岩場にへばりつく (ビビリ岩の取り付き) |
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玉岩 名前の通り丸い岩 |
急斜面を回り込む |
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素晴らしい展望、左の岩の先端が先ほどまで居た見晴し |
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ここを登るの?ウッソ! 大のぞきで一休み やれやれ! |
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滑り台状三蓮50度30mの鎖場 せっかく登ったのに! |
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天狗岩は通過点 |
切り立った岩壁 |
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タルワキ沢分岐 |
何度も出てくる警告板(マウス ON) |
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相馬岳山頂 裏妙義の岩峰の向こう、遥か遠くに見える端正な山は浅間山 |
相馬岳から先は上級者でも非常に危険、ザイル等の装備のない方は登山を辞職してくださいと書かれた看板が立っ
ている。 その看板どおり、相馬岳からの下りは急激な斜面なのに鎖、ロープの設置がまったく無い。これが”ザイル
が必要”との理由か?
ヤセ尾根を下ると沢になり、しばらくは沢道を歩く。沢道が終わるとバラ尾根の岩峰群が待っている。急峻な岩場を
登ったり、岩壁のザレ場をトラバースと緊張を切らすことは出来ない。
相馬岳から30分、堀切峠に着いた。もう岩場は無い。単調な下りを20分で中間道に出、さらに30分で車道にでる。
車道を20分ほど歩くと駐車場に帰ってきた。
こうして険しくも楽しい妙義山の最高難度の稜線縦走は無事終了した。
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山頂から堀切に向かう 可憐なサクラ草が疲れを癒してくれる |
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まだまだ岩場のアップダウンが続くバラ尾根を下る |
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堀切まで降りてきた。 もう岩は無い!一安心だ! |
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表妙義を振り返り、ふれあいの道まで来れば30分ほどで車道に出る |
歩き終えて、今日の温泉は妙義神社直ぐ近くの妙義プラザもみじの湯だ。露天風呂から正面に妙義山を眺めながら
疲れを流す。
さて、今夜の宿は? 四つ又山登山口駐車場らしい。村の人に許可を求めるとワラビまで頂いた。
薄暗くなったなか急いでキャンプの設営だ。 ここでハプニング発生!副隊長がテントのポールを忘れてきた。この
パーティは何かのへまがないと収まらないようだ。今夜は車で二人が寝ることになった。それでも楽しいキャンプ生活
時間の都合で「ご飯」は無し。ソーセージ鍋に焼き餅で盛り上がる。 明日の天気は?
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ひとこと:こんなキツイ山は初めて! ジャンより厳しいかも・・・・! |