渓谷や滝を巡りブナ原生林の稜線へ
寂地山の山頂は何度か踏んだが、それは吉和冠山からの延長線のピークとして訪ねたのであり、はじめから寂地山を目指して登ったのは7年前の2008年以来だ。そのときはカメラにメモリーを入れ忘れ、写真の無いレポートになってしまった。今回はそのときのリベンジを兼ね、渓谷の紅葉を探索に出掛ける。
寂地峡の駐車場には登山準備中の車が1台停まっているだけだ。 時間が早いせいか案内所はまだ閉まっている。 登山支度を終え、広島ナンバーの車のご夫婦の後から出発する。
キャンプ場の中を通り、5分ほどで寂地峡五竜の滝の入口に着く。橋を渡って、五竜の滝を見ながら石段の急登を登 っていく。標高差100m程を一気に登ると水平な道に出る。「Cコース640m 竜ヶ岳観音」の標識に従い、右の「木馬(きうま)トンネル」を抜け、竜生橋を渡ると竜ヶ岳の分岐がある。生憎竜ヶ岳への道は落石の為通行止めとなっており、イノシシ避けの柵でガッチリ遮ってある。 |
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寂地峡駐車場 左はトイレ、右は管理棟 |
五竜の滝入口 |
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「竜尾の滝」に始まり 「登竜の滝」、「白竜の滝」、「竜門の滝」と滝を巡っていく |
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最後の「竜頭の滝」を過ぎると狭くて急な階段になる |
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階段を登り詰めると木馬(きうま)トンネル |
竜生橋を渡り竜ヶ岳分岐へ 竜ヶ岳へは通行止め |
寂地山へは竜ヶ岳峡の渓流沿いの平坦な道を行く。竜ヶ岳分岐を後にするとすぐ右岸に渡り、10分で「寂地山へ180分」の標識があり、更に15分ほど進むと崖の斜面に設置された渡り廊下を歩いて行く。
渡り廊下を過ぎ、10分ほどで再び左岸に渡り返す。少し行くと河原に突き出すように築かれた石組がある。これは製材用の水車小屋跡らしい。そのすぐ先が初めての休憩所となっており、ベンチが設置してある。登り始めて約1時間が経過している。ここで休憩、それとも出会いまで頑張るか?
沢が次第に浅くなり、色づき始めた渓谷を森の奥へとさらに進み、赤い橋を右岸に渡るとタイコ谷とクロナメラ谷の出会に着く。
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左岸から右岸へ |
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寂地山へ180分 駐車場へ40分の標識 |
崖面に設置された渡り廊下 |
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更に左岸に渡り返す |
水路の遺構 |
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色づき始めた渓谷を進み右岸に渡るとタイコ谷とクロナメラ谷の出会に着く「寂地山へ120分右谷山へ70分」の標識 |
出会いで小休止するといよいよ登りにかかる。タイコ谷の渓谷を下に見ながら高度を上げていく。谷を登り詰めると傾斜が増し、急な横木の階段に息が切れてくる中、振り返ると展望が開け、羅漢山から鬼ヶ城山の稜線が見える。
出会いから40分、紅葉の色づきが濃くなってくるとミノコシ峠の鞍部に着く。
冷たい風が強く吹き抜け、寒くて休む事もできない。そのまま左に進み右谷山を目指す。木の間越しに寂地山の稜線を振り返り、数少ないこの山の眺望を楽しむ。「右谷山へ 0.4km」の標識を過ぎると刈られた笹の下には急な横木の階段が現れ急登になる。 急登の先が錦ヶ岳、三角点は無く、道標があるのみだが標高1260mと右谷山より26mほど高い。錦ヶ岳から300mの距離を緩く下って、登り返すと三角点のある右谷山に着く。
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色づいた木々を眺めながらタイコ谷の急登を行く |
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みのこし峠 |
寂地山への稜線 |
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「右谷山 0.4km」の標識 |
笹の刈られた丸太の急階段 |
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錦ヶ岳山頂 |
右谷山山頂 |
ミノコシ峠まで戻り、カタクリ保護の為、木の枝で仕切られた稜線上の道を寂地山へ向かう。 始めは丸太階段の尾根道を登り、1235mピークは右側をトラバース気味に進む。(この辺りでシャリバテ解消の為、道に座り込んでエネルギー補給する。)そして再び尾根道に戻り、緩やかなアップダウンを繰り返しながら小さなコブを越えていく。
南寂地山を越えると山頂はもうすぐだ。南寂地山から緩やかに下ると犬戻し峡からの林道コースが合流してくる。この鞍部から広い尾根を緩やかに登り返すとブナ林の山頂に達する。
山頂には三角点は無く、炬火採火の碑とそうさい神社が鎮座している。
気温が低く、夏用ズボンを通して冷気が身に染みる。今日は昼食は熱々の煮込みうどんだ!これで体の芯まで温まる。 |
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みのこし峠まで戻り寂地山へ |
緩やかなアップダウンの続く道 |
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標高1260m地点のカーブ |
南寂地山 |
寂地林道分岐 |
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広い尾根を緩やかに登っていく |
寂地山山頂 |
帰路は、山頂から鞍部に戻り、標識に従って左に下り犬戻し峡の寂地林道へと向かう。分岐から下るにつれブナの木は巨大 な杉の美林に変わる。スギ林の間から見える美しい紅葉に癒されながら急な横木の階段を下りる。往路の寂地峡より、復路の方が紅葉が進んでいるようだ。
分岐から45分メウゼン川に架る橋を渡ると林道終点登山口に着く。これから犬戻し峡を楽しみながら、のんびりと林道を下っていく。30分ほどで「犬戻の滝遊歩道」の標識に従い、林道から右下に急な階段を下りていく。河原まで下りると雄大な滝が右手に見える。犬戻しの滝だ! さらに遊歩道を進むと「三連の滝」が木の間越しに見え、感動している間に東屋のある林道に合流する。この遊歩道はなかなかワイルドで、少なくともスニーカーぐらいは必要なようだ。
林道に出ると寂地峡駐車場までは30分ほどの距離だ。
今日の登山者は我々を含め、3組6人だった。
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ブナの森から見事な杉林へ |
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美しい景色に癒されながら急な横木の階段を下りる |
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階段が終わると林道が近い |
林道登山口 |
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紅葉の染まる寂地林道 |
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犬戻の滝遊歩道入口 |
犬戻しの滝 |
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三連の滝 |
遊歩道入口の東屋 |
ひとこと:急登は少ないが、時間と距離には疲れる! |