思わぬ苦行に疲れ果てた里山歩き
我が家と取り巻く山々で第二の高峰・灰が峰。若かりし頃は何度も登り、いつも帰りは夕暮れ時だった記憶がある。そんな近
場を代表するような山のレポートが今だ無いと思いながら今日まで過ごしてきたが、今回「山歩きと山野草」さんのレポを参
考に小滝から登ることにした。このコースは、度重なる大型台風の襲撃と呉・東広島道路の建設で登山道遮断された為、登
ることが困難と噂されてきたコースだ。
団地の朝の掃除が終り、慌てて車に乗り込み出発する。コンクリートブロックで封鎖されている旧二級トンネルの前辺りの路
側に車を駐車。バスで下石内に下り、広大川に出ると立派な小滝橋が目に入る。小滝橋を渡ると子供時代副隊長が大嫌い
だったと言う、コンクリートの急な坂道を登っていく。呉・東広島道路の高架を潜り、トイレの手前で左の道に入ると間もなく
小滝(白糸の滝)に到着、急な勾配に大汗をかいた。途中で地元の人に出会い登山道の様子を尋ねると最近広島の山岳会
の人(フェニックス登山クラブのこと?)が整備したから大丈夫とのことだった。
白糸の滝は落差38.1m、幅約6mの垂直瀑で、一段の垂直瀑としてこれほどの高度をもつものは瀬戸内海周辺では珍し
いとのこと。昔は滝壺ももう少し深く、子供が泳いでいたとか(副隊長の記憶)。現在は遊泳禁止の立て札がある。
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小滝橋 |
急勾配のコンクリートの道 |
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呉・東広島道路の高架を潜る |
トイレの左に入って行く |
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白糸の滝(小滝) 滝の左手にある道標(上) 右手に向かう道もある(下) |
白糸の滝から左手の斜面を登っていく。 急斜面に張られたロープに助けられて登っていく。 滝の落ち口を横目に見ながら
更に登っていくと鉄塔保守道の平坦な道に出て一息つく。水平な道を暫く進むと谷に向かって下り、石積みに沿って進むと
渡渉地点に出る。沢を渡り、一登りすると明るく開けた尾根の先端に着く。ここで保守道と別れ羊歯に覆われた尾根道に入っ
て行く。煩く足元にまつわりつく羊歯を掻き分けながら登っていくと、石積みされた尾根があり、そこから尾根と分かれて竹薮
の中に入って行く。
そこから10分ほど歩くと登山道は分かりづらいガレ場に踏み入り、テープを探しながらガレ場を抜けると小さな流れを渡る。
水の流れる音が身近に聞こえ、谷筋を一つ越えたことが分かる。
羊歯の茂った歩き難い道を過ぎると明るく歩き易い植林帯に出て、苦行は終りかと思えたが次には倒木帯が控えていた。倒
木はある程度切断されており、何とか乗り越えて行けたが、処理される前ならとても進むことが出来なかっただろう。
倒木帯を乗り越えると登山道は不鮮明になり、桧の幼木の間を上に向かってまっすぐ上るとようやく大積山林道に出た。
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余りの急勾配に拾った杖が邪魔になる |
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鉄塔保守道を右へ |
谷に向かって下って行くと石積みが多く見られる |
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渡渉して右手の尾根に向かい、尾根の先端から尾根道を行く |
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鉄塔保守道と分かれて尾根道へ |
羊歯に覆われた尾根道 |
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再び石積みが現れ竹薮のトンネルに入って行く |
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登山道が分かりづらいガレ場 |
歩き易い道もつかの間 |
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大積山林道の上り口にある標識と 大積山林道 |
この林道、大積山とは山が違うと思うけど?
明るく展望の開けた林道から野呂山の電波塔が枯れたススキの穂の向こうに見えている。200mほど西に進むと林道が二
分し、どちらも荒れた道になる。分岐から右に曲がったところに江ノ藤山の取り付きがあり、沢山のテープが付いているが標識
は無い。
取り付きをよじ登ると急坂の一本道。長い直登が終り、傾斜が緩むと右にカーブし、更に単調な登りが続く。山頂手前で左に
振れると主稜線の縦走路に出る。右折して、少し登ると縦走路上に標識があるからそれと判る江ノ藤山山頂がある。江ノ藤山
には三角点は無い。
江ノ藤山の南西尾根を緩やかに600mばかり下ると林道にでる。竣工したばかりのようで「大積山林業専用道」と名付けられ
ている。 この林道を鋏んだ次のピークを越えれば殉職者慰霊碑に出るが、今日は殉職者慰霊碑に行くことは諦め、この林道
を下り、ロータリー向かう。
ロータリーで灰が峰への取り付きを見逃し、20分のロス。やっと見つけた灰が峰への直登コースはサルトリイバラやホソバ
モミジイチゴなどの棘類が茂った急坂のとんでもない道だった。あちこちに引っかき傷を創りながら、やっと反射板や無線中継
所のある東肩に達したが、そこから林道に出るのも一苦労。藪を掻き分け林道に出て、そこから車道を辿りやっと山頂に上が
る。時刻は午後2時前。出発から5時間近く掛ってしまった。
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ススキ越しに見る野呂山 |
林道が二分する右手の角に江ノ藤山の取り付きがある |
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急な江ノ藤山への取り付き口 |
一本道の急坂が続く |
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主稜線の登山道に出る |
江ノ藤山山頂 三角点は無し |
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主稜線を南に下ると新しい林道に出る |
ロータリー |
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灰ヶ峰直登の登山口 |
茨の急登を行く |
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山頂から呉も市街地を望む |
山頂のドームと絵下山が見える西方面 |
久振りに来た灰ヶ峰は芝生広場も無くなり、一段と狭苦しい山頂になっている。暖かかった日差しもいつの間にか冬空に変わり
冷たい風が吹き抜けている。遅い時間に帰りを気にしながら、暖かい甘酒で身体を温め、そくさくと下山にかかる。
しかし、あの茨の急坂はもうごめんだ! ロータリーまで車道で2.3km、30分もあれば十分帰れる。ならば車道を・・・・
ロータリーからも幸い急登は無く、江ノ藤山まで1時間掛らず3時前には到着した。
これで明るいうちに二級ダムまで帰りつけると一安心する。
江ノ藤山から土山までは、ところどころ潅木に被われたり、倒木があったりするが、穏やかなアップダウンの続く気持ちの良い
縦走路だ。
土山の三角点は縦走路から外れたところにあるが、分岐にはテープと手製の標識もある。
土山からは急な下りの連続で一気に高度を下げていく。 標高差300m余りを駆け下りると鉄塔すぐ下の大積山林道に飛び
出した。
林道を左に取ると二級峡への下山道のところに「東広島・呉道路建設工事に当り、この先通り抜けできません」の無情な看板
が設置されている。仕方なく林道を下って行くと伐採用大型重機2機が作業中で伐採処理した丸太が林道を塞いでいる。
高巻きすることも考えながら、重機の鮮やかな手さばき?に見とれていると作業を中断して通してくれた。それにしても今日は
日曜日なのに・・・・・。
林道終点の牛舎の先で中国自然歩道を右に採り、東広島・呉道路の高架を潜る。日も落ち、薄暗くなったダム湖畔の散策路
をダムの堰堤に急ぐ。 堰堤の上から、新装なった二級峡の甌穴橋が見えたが渡るのは次の機会にしよう。
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作業が終り締められたゲートの横をすり抜けて主稜線の入り口へ |
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江ノ藤山から土山へのなだらかな尾根道 |
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土山山頂と三等三角点 |
鉄塔のすぐ下に大積林道 |
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東広島・呉道路通り抜け禁止の看板 |
林道を塞ぐ伐採用大型重機 |
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林道終点から中国自然歩道へ |
東広島・呉道路の高架を潜る |
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ダム湖畔の散策路 |
二級ダム堰堤 |
ひとこと:思いがけない長丁場に疲れ果てる! |