登りも下りもルートハンティング
一の俣温泉から白滝山は近い。朝食をゆっくり味わい、宿を後にする。
国道435号線から松崎橋を渡ると正面に田耕神社の鳥居と参道が目に入ってくる。中山神社に向けて林道白滝
線を北上すると次第に山並と共に山上の風力発電の姿が大きくなってくる。
中山神社前の広場に駐車し、神社に参拝する。明治天皇の母方の叔父に当る中山忠光氏が、この地で暗殺された
経緯や系図が書かれた説明版や社の中に飾られた若々しい忠光卿の写真を見ると歴史の非情さを思わずにはい
られない。境内には三笠宮殿下、嵯峨公元、愛新覚羅夫妻によって植樹された木が植わっている。また、「中山忠光
卿朝臣之遭難処」の碑の下にある「血染・・・・」と書かれた石碑は余りのも生々しい。
神社を出発して、5分ほど歩くと、「四恩寺コース」と書かれた案内板が朽ちて、標柱から下に落ちている分岐がある。
案内に従って右の道に入り、のんびりと春を楽しみながら奥へと進んでいく。直進する道は林道白滝線で上の古堂
橋を経て山頂登山口に続いている。
出発して15分、「ぬたが迫コース」の標識がある分岐に出る。 このルートが一般的な登山コースらしいが、今回は
下山ルートに予定している。
犬に吼えられながら最後の民家を過ごし、鉄板の橋を渡ると四恩寺跡の苔むした石段が見えてくる。苔むした荒れた
石段を登り、四恩寺跡の平坦な場所に建てられた説明版や古跡の碑を見ながら周辺を散策する。
四恩寺跡を出発し、未舗装の林道を暫く歩くと林道は終りになる。枯れ草に覆われた山道に入ると、すぐコンクリート
の橋が現れる。水に浸かりながら橋を渡り、「古堂コース」の標識を見て、右の斜面を登っていく。
杉の植林帯を抜け、岩場を進むと間もなく小さな沢を渡る。沢を渡り、急な岩の斜面に付けられた細い道を登って行
くと黄色のガードレールが見え、林道白滝線に達する。 ここがゴルジュコースの入り口だ。古堂橋の袂で小休止。
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中山神社駐車場(マウス ON 登山案内図) |
中山神社(マウスON 中山忠光卿朝臣之遭難処の碑) |
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四恩寺コース分岐(マウス ON 朽ちたコース案内) |
長閑な四恩寺跡への道 |
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雄山・雌山が近づいてきた |
ぬたが迫コースの標識 |
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四恩寺跡 |
四恩寺跡の先から雄山の岩壁を眺める |
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林道終点 |
コンクリートの橋(マウス ON 古堂コースの標識) |
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古堂コースは急登の連続 |
道は沢を渡って、左手の斜面へ |
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美しい滝と急な険しい登り |
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林道が見えてきた |
古堂橋登山口 |
ここからが白滝山の名物、ゴルジュコースへの入り口だ。頭上には雄山の岩肌が覆いかぶさるように聳えている。
ガレ場の急斜面を登っていくと観音岩コースの分岐がある。観音岩コースへのテープは沢山付いているがゴルジュ
へのテープは少なく分かりにくい。 石の崩れやすい道を直進していくと谷筋の岩場に出る。
岩を乗り越えながら進んでいくとロープの付けられた岩場に着く。苔むした岩に滑らないように登り切ると登山道は
右に向かい雌山の急斜面を這い上がるようになる。 谷から大きく離れて高度が上がるので不安になるが、やがて
谷に向かって折り返して戻っていく。 沢を渡って、急坂を下っていると「←観音岩」と「頂上→」の朽ちかけた標識を
見つけ迷ったことに気がついた。この道は観音岩の上の分岐だ。 (沢の手前から右に曲がるのが正解、古びたテ
ープ有り) 分岐まで戻り岩壁に沿って進むとゴルジュへの入り口に到着した。
目の前に立ちはだかる巨大な岩、また岩! これから向かう岩場に興奮し、感激する。
最初は岩の間をせりあがり、次は岩に掴んで乗り越えて岩棚に上がる。岩棚から振り返れば、テレビで見た黒部源
流のような風景が広がっている。前を見ると一段と狭くなったゴルジュに岩が積み重なり行く手を遮っている。最大の
難所、三段岩だ。設置されたロープに掴まり、滑る岩を慎重に乗り越える。
いくつか岩場を越えると白滝に達する。ゴルジュの凄さに比べ、慎ましやかだが、滝壺の深い青色に注ぐ、一筋の白
い滝もまた美しい。
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頭上に聳える雄山の岩肌 |
古堂橋登山口はゴルジュコースへの入り口 |
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ガレ場の急斜面を登っていくと観音岩、下の分岐がある |
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ガレ場から谷筋の岩場へ |
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ロープの張られた岩場を進む |
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登山道は右に向かい、雌山の急斜面を上がる。 その後折り返し谷に向かうが・・・・・ |
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これは行き過ぎ、観音岩の上の分岐への道 |
引き返して、岩壁に沿って真っ直ぐ進む |
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ゴルジュ帯の入り口に入ると巨大な岩場に圧倒される |
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岩を乗り越え、次の岩へ |
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岩棚から振り返れば原始の趣 |
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最大の難所、三段岩を越える |
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最後の岩場 |
白滝 |
滝上には今までと違う穏やかな空間が広がっている。沢に沿って右手方向に進むと舗装された林道に出る。林道の先には
風車が建ち、風車に向かって進んで行くと林道脇に道標が倒れていた。白滝山山頂の標識に従って狭い山道に入ると、いき
なり急な坂道が待っていた。傾斜が緩くなって、山腹を回りこむと飛行機の爆音のような音が聞こえてきた。登山道は鞍部か
ら右手の山に入り、ロープに導かれて山頂に向かう。間もなく作業道を横切り、急な横木の階段道を登ると山頂に到着する。
西には沢山の風車が立ち並ぶのが見えるが、遠くは霞んで見えない。しかし、この不快な音と風には我慢できず早々に帰
途に着く。
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滝上の穏やかな空間 |
山上に聳える風車 |
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林道から山頂への入り口 |
ロープに案内されて山頂へ |
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白滝山山頂 |
風車の群れ |
林道まで降りるとあの嫌な音から開放される。林道を15分ほど下ると「ぬたが迫コース」の入り口に着くが、ここの標識も朽
ちて地面に置いてある。うっかりすると見逃してしまいそうだ。
林道を離れて分岐に入ると緩やかな広い尾根道だ。気持ちの良い坂道を下り、411mピークとの鞍部から杉の植林帯の中
を沢に向け、急激に下って行く。 沢に降り、暫く進むと登山道が消えてしまった。これから先はルートを探しながらの下山と
なった。2013年8月の豪雨で登山道が崩落したのだろう。川の中にテープや道標が散見できる。それに残った登山道も倒
木で寸断され、ほとんど通ることが出来ない。
1時間ほどの格闘の末、やっと最終民家の下に辿り着き、川を渡り一安心する。 四恩寺下の登山道に合流し、舗装路を
ゆっくり歩き中山神社の駐車場に無事帰る。
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ぬたが迫コース入り口(丸印 朽ちた標識) |
411mピークとの鞍部 |
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道無き道を渡渉を繰り返し降りていく |
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倒木に道が塞がれる |
寸断された、ぬたが迫コース本来の登山道 |
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次々と行く手を遮る倒木 |
やっと道らしい登山道 |
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川を渡ると最終民家へ |
無事帰還 |
ひとこと:凄かった!行きも帰りも・ |