露に濡れ美しく輝く高嶺の花々
昨夜は手違いから峰南荘に泊まれず、岳(たけ)集落の民宿大和坊に泊まることになった。突然だったが快く 引
き受けてくれた。十軒ほどあった民宿も現在は三軒になったというその内の一軒である。岳集落には早池峰神社
があり、ここに昔から伝わる獅子舞は無形文化財に指定さるほど由緒あるもので立派な博物館もある。宿の主人
もこの早池峰神楽に深く係わっているという。
珍しい山菜やきのこ尽くしの夕食を肴に、明日登頂する山形から来たという同行者と杯を交わし、暫し山談義を楽
しんだ。
明け方降っていた雨はやんだが、今日の天気はあまり良くなさそうだ。もっとも早池峰山は晴れることが少ない山
ではあるが・・・・。
早朝にもかかわらず、用意してくれた暖かいおにぎりを手に霧の中を登山口へ車を走らせる。駐車場には数台の
車が止まっている、中には車中泊した車も・・・・。
北上高地の最高峰として神々しいまでに輝く岩峰、可憐な高山植物が咲き誇る早池峰山へは、河原ノ坊登山口
からコメガモリ沢に沿って登っていく。
胸躍らせながら登山口を入ると道幅の狭い樹林帯を5分程進むとコメガモリ沢に出る。渡渉を繰り返し、沢を詰めて
いく。(増水時はこのコースは登れないと思われる。) 沢の両岸にはチングルマやヨツバシオガマなどの高山植物
が眼を楽しませてくれるが、お目当てのハヤチネウスユキソウはまだ見えない。傾斜が緩み、谷幅が狭くなってき
た。間もなく最後の水場、頭垢離(こうべごうり)だ。
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民宿大和坊 (TEL0198 48 5504) |
早池峰山河原ノ坊登山口駐車場 |
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早池峰山河原ノ坊登山口 |
沢沿いに上っていく |
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渡渉を繰り返し沢を詰めていく |
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渡渉の次は急な傾斜も 岩陰に咲くミヤマオダマキ |
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傾斜が緩み、谷幅が狭くなってきた
間もなく最後の水場垢離頭だ。 |
チングルマ&ヨツバシオガマ |
昔の登拝者が身を清めたという垢離場の先端(頭垢離)で沢から離れ、尾根に向かって急坂をジグザグに登って行く。
尾根に上がると植物保護のロープと道しるべの白いマークが遥か頭上に伸び、霧の中に消えている。ここからはお花畑の
楽園が続く。夢中になってハヤチネウスユキソウやアズマギクにカメラを向ける。気がつけば頭上には急峻な岩場が迫って
いる。雨の降りしきる中、小さなジグザグを繰り返し岩場を登っていく。「御座走り」の標識を越えると、ロープの張られた広い
一枚岩の上にでる。思ったほど傾斜は無く、ロープ無しでも登れるが戯れにロープに引かれて登ってみる。
打石・千丈岩と続く急登の先に突然、黄色いお花畑が広がる。ナンブイヌナズナの群生だ。それに癒される間もなく、鎖場の
難所だ。雨に濡れて滑り易い一枚岩に、先行する若者が悪戦苦闘している。こんな日は無理をせず、迂回路を通るべきだが
副隊長は一枚岩の真ん中を登ってくる。真ん中には足場になる窪みがあるとか・・・。
鎖場を過ぎると道は右手に向かって登っていく。依然として厳しい岩場が続き、行く手にはガスに煙った鋭い岩峰が連なって
いる。岩場に咲くミヤマオダマキやキバナノコマノツメに励まされ、ただ、もくもくと登っていると思いがけず山頂らしいものが
見えてきた。 雨に煙る一等三角点の鎮座する早池峰山山頂だ。
今日の天気予報では午後は晴れるはずと山頂避難小屋で4人の登山者とともに時を過ごす。
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植物保護のロープが張ってある尾根道 |
ハヤチネウスユキソウ |
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アズマギク |
タカネウスユキソウ |
ナンブイヌナズナ |
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ミヤマハンショウズル |
ハクサンチドリ |
シロバナハクサンチドリ |
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岩場の花園 |
キバナノコマノツメ&ハヤチネウスユキソウ |
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急な岩場をジグザグに登っていく(中には超早い人も) |
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「御座走り」の標識 |
岩場を登る副隊長 |
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大きな一枚岩の御座走り ミニキナバルだ! |
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打石 |
千丈岩 |
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霧の中から突然現れる黄色のお花畑にはナンブイヌナズナとミヤマオダマキ |
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最後の難関 鎖場を越えても急な岩場の登りは続く |
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岩場の向こうに山頂が・・・ |
早池峰山(標高1917m)山頂 |
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山頂の早池峰神社 |
避難小屋 |
1時間程すると雨は小降りになったが、ガスが切れる気配は無い。一足先に出発する。避難小屋から急坂を下り、賽
の河原を過ぎると木道となる。門馬コース分岐を過ぎ、剣ヶ峰分岐までは平坦な、お花畑となっている。それを過ぎ
ると岩場になりその先は崖になっているが、足場や手がかりはあるので難なく降りることが出来る。崖を降り、その先
の岩を回り込むと早池峰山名物?の梯子場が現れる。梯子は2段に分かれており、上の梯子は傾斜が緩いが、下
の梯子は垂直に近い。どちらも結構長く、高度さもありスリルがあって面白い。
梯子を降りると再び岩場の下りが続き、その両側には可憐な高山植物が咲いている。
山頂を出発して1時間半、やっとガスが取れてきた。下山道を下る人や遥か下に延びる尾根が一望出来、下山口の
小田越も見えている。右手を見れば、河原ノ坊コースの急峻な稜線を登る登山者の列がノロノロと登っているのが見
える。
雨上がりを知らせるのか、五合目の御金蔵の岩ではイワヒバリ?がしきりに囀っているのが見える。振り返れば視界
いっぱいに蛇紋岩の岩壁が広がり、山頂を隠している。
五合目から40分ほどガラガラの歩きにくい岩場を下ると、低木帯の中に大きな岩が折り重なった登山道になる。
次第に樹高は高くなり、岩は姿を隠し、樹林帯の中を緩やかに下って行く。木道が現れるとやがて小田越の登山口
に着く。 いつの間にか空は青空、しかし早池峰の山頂にはまだ雲が懸っている。
ここからは舗装路を河原ノ坊までかえるだけだ。
雨もまた趣があったが晴れた早池峰山にも登ってみたい。また登りたい山だ!
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山頂部のお花畑 |
門馬コース分岐 |
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切れ目の入った木道は歩き易い |
剣ヶ峰分岐 |
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色とりどりの花が咲くお花畑 |
イワベンケイ |
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岩壁を下る |
岩尾根の終点からは梯子場へ |
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早池峰山の名物?梯子場 結構長い二段の梯子 |
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一瞬の晴れ間に輝く、お花畑と下山道 遥か下には小田越の下山口も |
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五合目の御金蔵から振り返ると降りてきた岩の屏風が視界いっぱいに広がる |
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ミヤマヤマブキショウマの咲く岩場を下る |
大きな岩が重なる道が樹林帯のなかへ |
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最後も木道 |
小田越登山口 |
下山後の舗装路で見た花 色違いのミヤマオダマキやイチヤクソウ属の中では郡を抜く鮮やかなベニバナ
イチヤクソウ・大きなをコケイランを見ることが出来た。 |
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ミヤマオダマキ |
コケイラン |
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ベニバナイチヤクソウ |
ノビネチドリ |
ハヤチネウスユキソウ |
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ひとこと:雨は降ったが大満足の山旅! |