■ 8月11日(日曜日)西穂高岳〜ジャンダルム〜奥穂高岳 今日のルート図はこちら
雲ひとつ無い空が朝焼けに染まっている。今日は素晴らしい天気を約束してくれているようだ。
5:30 登山開始です。焼岳と乗鞍岳がほんのり赤みを帯び、美しく輝いている。暫く進むと大きな笠岳が曙の空に浮かんで
いるのが見渡せる。素晴らしい眺めだ!
15分も歩くと目指す西穂の山々が姿を現してきた。まだここらは西穂の荒々しさは無く、快調に登っていく。20人余りの団体に
前をふさがれるが先を急ぐ。 5時57分チラリと顔を見せたジャンダルムの横から朝日が昇ってきた。ハイマツが緑に輝き、焼岳
と乗鞍岳の頂に陽がさしてきた。光が当る独標の頂上には既に沢山の人影が見える。岩場を一登りすると西穂高岳独標
(2701m)に着いた。
独標からは針の山のような岩峰が幾つも見え、その奥に西穂高岳がひときわ高く聳えて見える。しかしその奥に一段と高く聳
え立つジャンダルムを見つけると嫌が上にも緊張感が高まる。
独標からは西穂らしい岩稜の尾根が続く。岩場を登り、下りし、30分程で岩を積み重ねたようなピラミッドピークに到着する。
もう既に岩との戦いは始まっているがこれはまだ前哨戦なのだろうか? この先どんな難関が待ち構えているのだろうか?
そうこうするうちに西穂高岳山頂(2909m)に到着。 ジャンダルム、奥穂高岳の先には槍ヶ岳が連なり、目を転じれば焼岳・
乗鞍岳の奥には御岳の姿も確認できる。
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8月11日(日曜日) 晴れ
西穂山荘5:30 → 6:47西穂高岳独標6:52 → 7:20ピラミッドピーク → 8:05西穂高岳8:10 → 9:30間岳 →
10:25天狗岳 → 天狗のコル(昼食) → 13:00ジャンダルム13:15 → 14:55馬の背 →
15:15奥穂高岳山頂15:22 → 16:10穂高岳山荘
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素晴らしい天気を約束する朝焼け |
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8月11日5:30 西穂山荘を出発 |
山荘の向こうに焼岳と乗鞍岳 |
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大きく聳える笠岳 |
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目の前に立ちはだかる西穂独標と西穂高岳 |
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ジャンダルムの横から朝日が昇ってきた |
まだ、なだらかな登山道を行く |
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緑に輝く尾根の向こうに焼岳と乗鞍岳 |
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西穂高岳独標 頂上には沢山の人影 |
最初の岩場? |
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振り返る |
西穂高岳独標(2701m) |
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独標からみた西穂高岳とそれに続く岩峰、ジャンダルムが遠くに霞んでいる |
振り返れば独標は人が鈴なり |
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西穂がだいぶ近づいてきました |
ピラミッドピーク |
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越えてきた岩峰 一番左が独標、右端がピラミッドピーク |
8:05 西穂高岳山頂(2909m) |
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序の口? の縦走路を振り返る |
西穂から先にはジャンダルムを越えるような山は無い。ただ尖った小さな岩峰がジャンダルに向かって連なっているだけだ。
西穂の急な下りを降りると「もう引き返せない!死んでも前に進む!」と覚悟する。浮石の岩場を慎重に進む。ホールドと足場
を確認しながら進むがそれ以上に落石は命取りだ。7人が一団となって登って行く。
ところどころ鎖のある上り、下りを繰り返し前進。緊張の連続だ。落石に注意しながら、急なザレ場を登ると石の積み重なった
間岳山頂に立つ。ここからの下りも垂直な岩場だ。そして登り返しはホールドも余り無い逆層スラブ。ジャンはまだ遥か彼方。
やがて天狗の頭(2909m)に到着。急な下りを前にジャンを見ながら息抜き休憩。そして天狗のコルで昼食。避難小屋の跡
が残るここはビバークに最適な場所だ。ここから若いカップルが岳沢へのエスケープルートを下って行った。
食後はまた岩との格闘だ。登ったり、降りたり、トラバースしたり、やっとジャンダルムに取り付く。ジャンダルムの坊主頭を前に
英気を養った後、登頂にアタック。13:00 ジャンダルム登頂成功! バンザイ!
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ジャンダルム目指して・・・・・ |
この下りもなかなか危ない |
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間岳(2907m)から西穂高岳(尖ったピーク)を振り返る |
聳える岩峰ジャンダルム |
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ここを降りるの?! (マウス ON 丸印拡大) |
捜索するヘリコプター |
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登るのは逆層スラブ |
天狗の頭で休憩(マウス ON 朽ちた標識) |
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間岳と西穂高岳を振り返る |
真ん中の岩尾根が登山道 |
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岩、また岩・・・・・岩に埋もれる人影 |
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ジャンダルム、ピークまで後一息 |
最後の直登 丸印 |
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長かった緊張の連続・・・・ジャンダルム(3163m)登頂 |
ジャンダルム登頂は果たしたが危険はまだまだ続き、気を緩めることは出来ない。
ジャンダルムから下るには坊主頭の基部まで下り、右に回りこみ奥穂への道に出るのが普通だが、我々は危険なトラバースを
避け、ザイルで直降。これは楽で安心! ロバの耳から振り返るジャンダルムは鎧を着た騎士のようだ。
「ロバの耳」からの下りはルートも良く分からない危険な岩場だ。何とか通過し、登り返してほっと一息。次の難所は「馬の背」。
「どうやって登っているか、よく見とくだで」(ガイド)と休憩しながら「馬の背」に取り付く人達を観察。次はいよいよ我々の番だ。
両サイドが上高地と飛騨側に一気に切れ落ちた、薄い鋸刃のようなギザギザした痩せた岩尾根だが、今までのルートと比べれ
ば岩も硬く足場もしっかりしている。今日は天気が良く、登りで助かった。どこも、奥穂側からは降りたくないと思った。
奥穂高はもう目の前にあった。奥穂に向かって歩き分岐に辿りついた時、やっと終わったと思った。そして奥穂高山頂に立った
時、何ともいえない充実感と達成感がこみ上げてきた。と同時に大きな拍手と喝采が聞こえたように思えた。困難を克服した者
にだけ味わえる至上の喜びだ。
晴れた奥穂の山頂から、西穂高、ジャンダルム、馬の背、等を思い浮かべ、余韻に浸りながら一時を過ごす。
疲れ果てたか、山小屋の食事もあまり喉を通らず、眠りに着いた。
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目の前には奥穂高岳への岩稜 |
ジャンダルム山頂からはザイルで降ろしてもらいます
(マウス ON) |
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手前のコブがロバの耳 |
ロバの耳から振り返って |
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まだまだ元気一杯です |
登り切ったところで休憩 |
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ロバの耳を越えると、次は馬の背 |
やっと危険地帯を通過 |
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奥穂高岳山頂 |
穂高岳山荘から奥穂高岳を |