南アルプス北部の盟主、甲斐駒ヶ岳(信州側では東駒ヶ岳と呼ばれている)を深田久弥は「日本アルプスで一番
代表的なピラミッドは、と問われたら、私は真っ先にこの駒ヶ岳をあげよう・・・日本アルプスで一番綺麗なな頂上
は、と訊かれてもやはり甲斐駒をあげよう。」と紹介している。いやが上にも期待で胸が高鳴る。
明るくなって出発しようと思っていたが、朝の3時から人の動く気配がして4時に起きてしまった。美味しくない朝
弁を味噌汁で流し込み出発準備。出かけようとすると大阪からの登山者が是非一緒にというので同行することに
する。話を聞くと65歳から100名山を目指し、現在77座登頂し、さらに今回の山旅は26日目で甲斐駒は14座目
に当たるとのこと。70歳にしては元気はつらつ、はたして我が身は・・・?
薄暗い中、北沢バス停を出発。山梨県側に5〜6分下ると「仙水峠へ」の標識がある。広い道を左方向に少し行
くと河川敷にテント村が見え、北沢駒仙小屋の前に出る。 小屋前の丸太の橋を渡り、山道に入っていく。川沿い
の緩やかな道をいくつか堰堤を越え、沢を何度か渡り、急な傾斜を上ると仙水小屋に着く。仙水小屋の水場の水
は冷たく気持ちがいい。ここから上には水場が無いのでここで水筒を満タンにしておこう。
小屋から苔むした樹林の中を緩やかに登ると突然目の前に大きなガレ場が現れる。ガレ場の裾を縫うように足
場を探しながら仙水峠まで歩いていく。振り返れば朝日に輝く仙丈ヶ岳が見え、カラマツやシャクナゲが岩と織り
成す景色は日本庭園のようだ。北沢峠から1時間で駒津峰と栗沢山のコルにある仙水峠(2264m)に着く。ここから正面に鳳凰三山のオベリスクもはっきり見え、左前方には白い岩峰の摩利支天が聳えているのが見える。
これから始まる1時間半の駒津峰への急登に備え、ゆっくり休憩する。 |